「自己紹介致しますね、お兄様」

くすくすと。

笑いながらメアリアンは言う。

「『千の武器を操る魔物』メアリアン・コリックと申します」

(千の武器…?)

肩越しにメアリアンを見つめる小岩井。

武芸百般という意味か?

それだけにしては、彼女の能力は不可解すぎる。

そう考えていた小岩井の前で。

「Ob Sie Sie stechen werden, oder führt zu Ende, ob Sie es schneiden werden, oder schnitzen Sie mit Fleisch?(斬ろうか刺そうか貫くか、それとも肉を刻んでやるか)」

メアリアンは詠唱にも似た呟きを紡ぐ。

まるで、あの『影を操る魔物』を連想させるような、呪詛と聞き間違えるような悪意ある詠唱…!