階下から見上げる女子生徒。

しかし紛れもなく、二階の男子生徒達に剣を押し当てているのは彼女だった。

しかも数本の剣を、一度に…。

「やめなさい」

小岩井の言葉に。

「!」

その女子生徒…メアリアン・コリックは振り向く。

同時に二階の男子生徒達は剣から解放され、床に這い蹲って痛みに呻く。

幸い致命傷には至らなかったようだ。

「メアリアン・コリックさん…ですね」

「メルと呼んで下さい、小岩井お兄様」

愛らしい笑みを浮かべるメアリアン。

その花のような微笑みの下に、残酷で冷血的な感情を潜ませている事を、小岩井は見抜いている。