しかし、その会話が突然。

「ぎゃあああっ!」

悲鳴に変わった。

立ち止まる小岩井。

ゆっくりと振り向くと。

「いけませんよお兄様達…用務員さんは一生懸命働いて下さっているのに…そのご苦労を馬鹿にするような言動をなさるのなら…こうですよ?」

二階の男子生徒達を見上げる、ロリータファッションの女子生徒。

藍色の長い髪、両サイドのリボン、赤い瞳、血に濡れたような紅色の唇。

その口端が、歪む…。

「いぎゃあぁあぁあぁっ!」

見れば、二階の男子生徒達の背中に剣が押し付けられていた。

ゆっくりと刃を引く。

男子生徒達の背中に、じっくりと、しっかりと、二度と消えぬように、傷を刻み込むように。

不思議な事に、その剣は『誰にも握られていないのに』勝手に男子生徒達に刃を食い込ませていた。