天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ

ここ最近、ほぼ毎日のように思い出そうとしている保健室の幽霊の名前。

どうして思い出せないのだろう。

それに、あの幽霊も最近は姿を見せなくなったと専らの噂。

(どこ行っちゃったんだろう、あの幽霊さん…外見は怖いけど、一緒にお茶したりお話したり、見かけほど悪い人じゃなかったのにな…)

そんな事を思いながら中庭を歩いていた雪菜は。

「あ」

花壇の手入れをする小岩井の姿を見つける。

ツナギ姿、両手には白い軍手。

スコップ片手に土を掘り返す小岩井は、真剣だがどこか優しげな表情だ。