天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅣ

言われもしないのにチョークを手に取り、男子生徒は名前を書く。

「火ノ八木 逸男(ひのやぎ はやお)だぁっ!『逸る男』と書いて逸男!逸男って呼んでくれ!エビバディリピートアフターミッ!カマンッ!」

無論誰も言わない。

「どうしたどうしたぁっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!」

手拍子しつつ教室を歩く逸男。

どうしてそんなに熱いんだ火ノ八木 逸男。

「恥ずかしがってちゃ友情は育めないぞ!まずはそこのポニーテールの君っ!」

方向音痴弟を指差して白い歯を輝かせる逸男。

「は、はや…」

「オッケェエェェエィッ!」

いや、まだ呼んでないぞ。