顔を上げる小岩井。

殆どの生徒がとっくの昔に登校し、教室に入ったこの時間に、リードグレイの髪の女子生徒がゆっくりと歩いてくるのも、天神学園では既にお馴染みだ。

「小岩井さん、おはようございます」

その女子生徒…死神少女は穏やかに微笑む。

「…遅刻ですよ?」

「あら、おかえりなさいくらい言って下さい。小岩井さんは意地悪なんですね」

少し悪戯っぽい表情を浮かべる死神少女。

とても小岩井の先輩…というより上司に当たる凄腕の死神とは思えない表情だ。