学園恋愛事情

あの日以来、
講介と歌音が一緒にいる姿を
誰も目にしていない。



講介は
律儀に彼女に義理を通して
歌音とはちゃんと距離をおいた。


登下校は彼女と一緒に。



歌音も
そんな講介と彼女の姿を目にしつつ、
先輩と一緒に帰っている。



歌音は講介に嫌われたくなくて、
これ以上
他人になりたくなくて…

どう動いて良いのか分からず、ただ遠くから見るだけしか出来なかった。




「全然…楽しそうじゃない。」



3階の廊下から、中庭を見下ろしながら歌音が言う。

視線の先には、講介と彼女。

大好きなパックのイチゴオレを飲みながらふて腐れた。



私といる時はもっとちゃんと笑ってたのに。
何で楽しくもない相手と付き合って、一緒に時間を過ごしてるの?!

私といた方が、絶対に楽しいはずなのに。





そう言った歌音を見て、少し間を取ってから隣にいる由真が言う。




「そう?彼女はすごく楽しそうだよ?」




由真の肩にに勢いよく腕を巻きつけて登場した里奈は笑っている。




「うっわぁ。…見てあの笑顔!!相当森井にラブってるね。」