「タケルくーーん!」
「げっ、噂をすれば…」
小学校からの付き合いの悪友が手を振りながら走ってきた。
「お前ら説教は?」
「んー??終わったべ」
どうせ逃げて来たんだろう。
「あ、タケル知ってる?転校生来たんだって」
「まぢで?」
初耳だった。
「まぢ!しかも超美少女!!」
興奮気味に話す翔平。
「美少女だろうが俺には関係ないわ。綾香だけやし」
肩に腕をまわし抱きしめる。
「リア充めーーー!!」
騒いでいるとチャイムが鳴り、教室に帰った。
「えぇ、皆さんもう聞いたと思いますが、転校生を紹介します」
ドアから黒髪の女の子が入って来る。
「川野 もくずです、よろしく」
おかしな名前だった。
「もくずちゃん!彼氏いますかー?」
男子が質問攻めをした。
「いない」
一言だけ喋ると、席に座った。
俺の隣に…
「よろしくね、三海藤くん」
寒気が走った。
「お、おう…」
コイツはやばい、とっさにそう思った。


「いいねー、タケルの隣は魅惑の美少女かぁ…」
隼人たちが羨ましがっている。
「な、なぁ。席代わんね?」
「お前!もくずちゃんが不満だと言うのか!?」
タックルされ、ムカついた。
「ちげーよ!アイツ…なんかヤバいんだよ…」