莢斗 side



なんでこんなになるまで頼らねえんだよ



俺の腕の中で泣き続けるコイツを見てそう思った



旅行から帰ってきてからすぐの事だった



茉夜の顔にはあきらかにいつもはないクマができていて日に日に濃くなっていくばかりだった



だが茉夜は俺達の前ではいつも笑っていた



だから話したくないなら話さなくていいと思ってたが…



ここ最近はいつ倒れても可笑しくねぇ顔色だったのにそれでもコイツは笑い続ける



紫陽花の奴等はきっと全員コイツの異変に気付いていた



けど踏み込むのを恐れていたんだろう



俺を含めた全員が



コイツは他人に踏み込まれるのを無意識に遠ざけている



だから拒否されたらと思うと柄にもなく俺達は行動できなかった



それにしてもあの茉夜の夢



毎日毎日見るってことは本当にあったんじゃねぇか?



でも今までそんなようなことは一度もいってなかった



ただの夢かならいいんだが…




莢斗 side end