「じゃ、また連絡するから」 「うん、またね。映画楽しんで」 玄関先で軽くキスをくれる藍。 悲しいけど、辛いけど、またくるよって約束してくれてるみたい。 お陰で何とか毎回笑顔で手を振れる。 玄関の扉が閉まった後、決まってあたしはベランダに移動する。 マンションから出てきた藍の背中を見送る。 これが習慣。 背中を見つめながら、いつも思い出すの。 あたしが藍を好きになったあの夜を。 藍はもう忘れた…?