「陣ちゃん熱あんだって?」


「…。」


「しっかり体調管理しないから!!おい!!蓮!!家までは一緒に行ってやるけどそれからは俺学校戻るからよろしくな?」


「あ、はい!!分かりました。」


「んじゃ、行くぞ。」



信太先輩から陣先輩の鞄を預かって昇降口まで歩いた。



「陣ちゃん、歩けるか?」

「……。」


「無理すんなよ?」



陣先輩は話すのも辛いのか頷くだけだった。

支えられながら歩く陣先輩はたまに立ち止まったり、口に手を当ててたりした。

そのたびに信太先輩は背中を擦ってあげたり、声をかけてあげたりしていた。

そんな二人を見ていると羨ましい…。そう思ってしまった。
二人の友情は深いんだろうなって思った。



「蓮!!これ持ってて。」


「あ、はい。」



信太先輩は学ランを脱いで私に渡したら、また陣先輩に腕を回した。



「それ陣ちゃんにかけて。」


「こうですか?」


「うん。陣ちゃん、もう少しだからな?」



信太先輩は自分の学ランを陣先輩にかけるとまた歩き始めた。

それでも陣先輩の顔色は悪くなっていく。
私は、背中を擦りながら信太先輩達の後ろを歩いた。



「着いた。陣ちゃん、鍵は?」


「…お…れの…、鞄の…なか。」


「蓮、鞄見て。」


「はい。」


「財布に…。」


「ありました。」


「開けるよ?」



信太先輩は鍵を開けると靴を脱いで陣先輩の部屋に向かった。
私もついていって、部屋の入り口に鞄を置いてすぐにハンカチを濡らしに台所に向かった。


ハンカチを濡らして部屋に戻ると、信太先輩が心配そうな顔をして陣先輩を見ていた。



「あの、タオルの場所とか分からなかったんで、ハンカチを濡らしたんですけど…。」


「あぁ。教える。来て。」

「あ、はい。」



信太先輩に続いて部屋を出た。

信太先輩はタオルの場所、洗面所、お風呂といろいろ教えてくれた。