目を開けるともうまわりは真っ暗だった。
だいぶ寝てしまったようだ…。

街の方に目をやると明るくて私がいる丘の上とはまるで別世界のようだった。



「寒い…。」



風がよく吹く丘の上ではパーカー1枚だけじゃきつかった。
だけど今は、家に帰りたくない。

財布の中には5万。
あまり欲しいものも、遊ぶこともないからお小遣いは使わずに残ってる。


「漫画喫茶…。」



あそこなら泊まれるしお兄ちゃん達に会うこともないだろう。

そう思って足早に漫画喫茶に向かった。


しばらく歩いて漫画喫茶に着いた。

海鈴君達が探してるかな?って思ってビクビクしながら来たけど会うこともなかったから安心した。



「いらっしゃいませ。」



店員の元気な声が聞こえて部屋を決めて何もしないでそのまま横になった。

今頃ママ達心配してるかな?
お兄ちゃん…心配してくれてるかな?
してくれてたら嬉しいな…。

目を閉じればお兄ちゃんの笑った顔とか怒った顔とか浮かんでは消え浮かんでは消えと繰り返していて涙が流れた。



「大嫌いなんて嘘だよ…。大好きなんだ。」



そう呟いて眠りについた。
次の日目が覚めるとすぐに漫画喫茶から出て家に戻った。


家に帰ったらまずはお兄ちゃんに謝って海鈴君達に謝ってママ達に謝ろう。
俯きながら歩いていると遠くで海鈴君とお兄ちゃんの声が聞こえた。

私は思わず陰に隠れてしまった。


足音が近づいてきて近くで止まった。



「蓮いたか!?」


「いや、手当たり次第探したけど見つからなかった。」


「おーい!!海鈴!!蘭!!」


「あ?蒼太に恋汰か。どうだった?」


「それがさ写真を見せながら探したんだけど昨日の夜漫画喫茶に入ってくのを見たって奴がいたんだ。」


「それで?」


「見に行ったら…もういなかった。」