さっきと同じ、自販機横のベンチで
あたしと先生は隣同士に座った。

もう、誰も通らずに
静まり返った廊下で
お互い体を寄せ合いながら。



「ーーーってことなんだ。
本当にごめん。詳しく連絡するべきだった」


「いいの!もう、大丈夫。」



やっぱり、小宮先生は、
先生のことが好きだったんだ。



「警戒するようにするよ。今までおれ、無防備だった。さっき新垣にも言われたよ。」




「先生…?あたし、先生がどこかに行っちゃうと思ってすごく怖かった。生徒のあたしなんかより、同じ年代の小宮先生に行っちゃうんじゃないかって」



先生は肘であたしのうでを
とんっ と突いて、
前を向いたまま首を傾げて
あたしの頭の上に頭をのせた。


「ばか。いかないよ、どこにも。お前は俺のもの、俺はお前のもの。…もう離さないから」


「先生はあたしのもの…?」

あ…胸が、ドキドキする。
今までで一番、先生との
心が近い気がするの。

好きな人と心が近づけると
こんなにも嬉しくて、
心臓が激しく脈打って
どうしようもなく泣きそうになる。



顎を優しく持ち上げて



「そうだよ?高橋、大好きだよ…」


「あたしも…大好き」



そう言って、あたしたちは

初めてのキスをした。



オレンジがかったライトに照らされながら
唇が重なった瞬間、涙がこぼれた