いるかな…?



何でか分からないけど


いる気がする。





走って走って



風に吹かれて髪が乱れてしまったけど


そんな事も気にしないで



とにかく走った。














『いた…』



先輩は一人立っていた。


あの大きな桜の木の下で…




『…あのっ』


後ろから声を掛け、ゆっくりと先輩が振り向く。



「ん?」


『えっと‥

あの


‥覚えてないと思うんですけど、私入学式の日に先輩とここで会ったんですよ



それで‥その…



~っ

好きです!


多分初めて会ったときからずっと…

きっと一目惚れでした




‥とにかく


私 先輩が大好きです!!』




一気に言ってしまった。


どんな風に告白しようか、頭の中で何度も何度もイメージしてたのに

実際はちっとも考えてる余裕なんてなかった。



上手く言葉を選ぶことも出来ないで、何だか辿々しい感じのものになってしまった気がする。







先輩の様子をチラと伺ってみるものの、その様子からは何を考えているんだか、ちっとも読みとれない。






普通だったら、ここで不安になったりドキドキして心臓がヤバかったり…


とにかく落ち着いてはいられないだろう。





でも、この時の私は心の中がすごく穏やかだった。



あるのは満足感と達成感のみ。





ずっと見つめているだけだった先輩に気持ちを伝えることが出来ただけで、もう充分だった。