「大丈夫かなぁ…、逸都(ハヤト)……。」



教室の隅っこで体育座りをしながらブツブツなにかを呟いている逸都。


逸都がヘンなのはいつものことだけど…。
あそこまで変だとさすがに心配になってくるよ。





ジィィィィ………



心配になって逸都を見つめてると、一瞬バチッと目が合った。




だけどその瞬間。



「安西先生!!安西先生!!」




逸都は手を合わせながらスラダンに出てくる監督の名前を念仏のように、ひたすら唱えだしてしまった。







「こ、心愛~!!
さすがにアレは心配だよぅ~!!!」



あの気持ちの悪い生き物がやたらと心配になって、心愛の肩をユサユサ揺すると




「大丈夫だから、ほっときなさい。」





呆れた顔して心愛は呟く。






「恋するオトコは情緒不安定なのよ。」


「……?」


「今まで散々ちょこを苦しめてきたバツよ。
助け船は出す気にもならないわ。ちょこの味わった苦しみの2倍は苦しんでもらわないとね。」