うっ…、しまった。
うっかり口を滑らしてしまったばっかりに、俺があの告白シーンを盗み見ていたことがバレてしまった。
なんだか気まずくて。
いたたまれない気持ちになりながら、アイツの向けるまっすぐな視線に耐えていると
「逸都は…
アレを見てどう思った…?」
ちょこは俺のTシャツの裾をギュっと握りしめて。
苦しそうな表情をして俺を問い詰める。
「…え……??」
「逸都は…淋しいとか、悲しいとか、悔しいとか…何にも思わなかった…?」
「ちょ…、ちょこ…?」
「チケットなんて渡すんじゃなかったって…少しは後悔してくれた……??」
ちょ、ちょっと待て!!
なんなんだよ、この展開は!!
目の前には、涙で濡れたウルウルの目をして、上目遣いで俺を見上げるちょこの姿。
「…な、なにバカなコト言ってんだ…。俺は何とも思いやしねぇよ。
両想いになれてよかったな~って心底思ったぞ?」
まずい
俺だってバカじゃない。
この雰囲気にはイヤッてほど身に覚えがある。



