ちょこからテーマパークのチケットを奪って。

グズグズしてるアイツの代わりにチケットを梅ちゃんに渡したら、梅ちゃんは必死の形相をして体育館に走っていった。




そして、今。
俺の目の前には泣きじゃくるチョコの姿と、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい優しい顔してアイツを抱きしめる梅ちゃん…という光景が広がっている。



体育館の入り口で隠れるように、こっそりとその光景を盗み見て



「よかったな、ちょこ。」



俺は小さく呟いた。





梅ちゃんのあの顔を見ればわかる。
梅ちゃんはちょこのコトが絶対、好きだ。



よかったな、ちょこ。
オマエ…両想いだったじゃん。





ちょこの恋がうまくいきそうなのを見届けると、俺はそうっと体育館を後にした。


梅ちゃんは“ちょこを家まで送ってやりたい”って思ってるだろうし、ちょこだって梅ちゃんと二人きりになりたいだろうし。






――ここは梅ちゃんに任せて俺は帰ろう。






恋の天才ポイントガード佐藤逸都様は空気を呼んで、この場を若い二人に任せることにしたんだ。