Sweet Chocolate Kiss(短編)



キュッキュッキュッキュッ


体育館に響くボール磨きの音。




目の前にいる佐加美(サガミ)センパイは…
簡単に言えばすごく大人な雰囲気の人だ。


もちろん年上ってコトはあるんだけど…、穏やかで常に冷静。




猪突猛進で無鉄砲な逸都とは…全然違う。






サラサラの髪に涼しい顔立ち。
知的…っていうのかな。
佐加美センパイは1つ年上なだけなのに大人なオーラがあって、優しい雰囲気でホッとする。





なんでだろう。
なんだか佐加美センパイってお兄ちゃんみたいでホッとするんだよね……。





ボールを磨きながら。
ポヤンとした目でセンパイを見つめていると

「ふふっ。どうしたの、千代子ちゃん。」

柔らかに笑うセンパイと視線が絡まる。




――わぁっ!!!


くそぅ、逸都め!!
逸都が変なコト言うから変にイシキをしちゃうじゃないか!!




「あ…、ごめんなさい!!見すぎでしたね。」




逸都があんなコトを言うもんだから、なんだか恥ずかしくなってきて。
視線を反らしてキュッキュとボールを磨く手を早めると佐加美センパイは“別に?”と笑う。