夜神は床に落ちた自分の刀を拾い上げると鞘へ戻した。
そして、座り込んだまま起き上がれないでいる姫に手を差し出す。
「大丈夫ですか。」
「え、ええ。大丈夫に決まってるじゃない!」
精一杯の強がりなのだろう。
その証拠と言わんばかりに、夜神の手を取った姫の手は小刻みに震え、顔は必要以上に力が入っている。泣くのを我慢しているようだ。
「大丈夫ですよ。もう、大丈夫。」
そんな姫を安心させるかのように、夜神は優しく笑いかけ、姫の頭を撫でた。
姫の目から、一粒の涙が零れ落ちる。
やがてそれは、一粒、また一粒と量を増やしていった。
姫が泣き止むまでの間、夜神はずっと姫の頭を撫で続けた。
「ふん。これで昼間のことを許すなんて思わないでよね!」
「はい、わかりました。」
泣き止んだ姫はその強気さを復活させ、夜神を指差すとそう言った。
夜神はそれに笑顔で答える。
「嬢ちゃん。土方さんのところに行って、報告してきてくれないか。」
「わかりました。あの、原田さん、斉藤さんはどちらに行かれたんですか。」
「あいつなら医務室だろう。怪我をしていたようだし。」
「そうですか、ありがとうございました。」
夜神はそう言うと、土方の元へ走り、報告が終わると医務室へと行った。
「斉藤さん!」
「・・・・・。」
「ちょっ、無視しないでくださいよ。地味に傷つきます。」
「何だ。」
ぶっきらぼうに答えた斉藤は、夜神の方は向かず、自分の刀の手入れをしていた。
夜神は少し躊躇した後、口を開いた。
「この間はすみませんでした。」
「・・・・急にどうした。」
「その、いつまでたっても無視をされ続けるので、まだ怒っていらっしゃるのかと思いまして。」
「怒ってなどいない。ただ、納得していなかっただけだ。
だが、今回の件で納得した。傷つけてしまっていたのならすまない。」
斉藤は刀の手入れが終わったのか、刀をしまうと夜神のほうへ向き直る。
その表情は穏やかなもので、普段の斉藤からは考えられないものだった。
「お前は強い。女だとずっと否定し続けていたが、あの目は武士の目。
武士に男も女も関係ないのだな。こちらこそすまなかった。」
そういった斉藤は手を差し出す。
仲直りと、これからよろしくという意味の握手を求めているのだと気付いた夜神は、その手を握り言った。
「これから、よろしくお願いいたします。」
そして、座り込んだまま起き上がれないでいる姫に手を差し出す。
「大丈夫ですか。」
「え、ええ。大丈夫に決まってるじゃない!」
精一杯の強がりなのだろう。
その証拠と言わんばかりに、夜神の手を取った姫の手は小刻みに震え、顔は必要以上に力が入っている。泣くのを我慢しているようだ。
「大丈夫ですよ。もう、大丈夫。」
そんな姫を安心させるかのように、夜神は優しく笑いかけ、姫の頭を撫でた。
姫の目から、一粒の涙が零れ落ちる。
やがてそれは、一粒、また一粒と量を増やしていった。
姫が泣き止むまでの間、夜神はずっと姫の頭を撫で続けた。
「ふん。これで昼間のことを許すなんて思わないでよね!」
「はい、わかりました。」
泣き止んだ姫はその強気さを復活させ、夜神を指差すとそう言った。
夜神はそれに笑顔で答える。
「嬢ちゃん。土方さんのところに行って、報告してきてくれないか。」
「わかりました。あの、原田さん、斉藤さんはどちらに行かれたんですか。」
「あいつなら医務室だろう。怪我をしていたようだし。」
「そうですか、ありがとうございました。」
夜神はそう言うと、土方の元へ走り、報告が終わると医務室へと行った。
「斉藤さん!」
「・・・・・。」
「ちょっ、無視しないでくださいよ。地味に傷つきます。」
「何だ。」
ぶっきらぼうに答えた斉藤は、夜神の方は向かず、自分の刀の手入れをしていた。
夜神は少し躊躇した後、口を開いた。
「この間はすみませんでした。」
「・・・・急にどうした。」
「その、いつまでたっても無視をされ続けるので、まだ怒っていらっしゃるのかと思いまして。」
「怒ってなどいない。ただ、納得していなかっただけだ。
だが、今回の件で納得した。傷つけてしまっていたのならすまない。」
斉藤は刀の手入れが終わったのか、刀をしまうと夜神のほうへ向き直る。
その表情は穏やかなもので、普段の斉藤からは考えられないものだった。
「お前は強い。女だとずっと否定し続けていたが、あの目は武士の目。
武士に男も女も関係ないのだな。こちらこそすまなかった。」
そういった斉藤は手を差し出す。
仲直りと、これからよろしくという意味の握手を求めているのだと気付いた夜神は、その手を握り言った。
「これから、よろしくお願いいたします。」


