重苦しい空気が漂う部屋で聞こえるのは、静かな呼吸の音だけだった。

「・・・・来ますね。」

夜神がそう呟くと、男が数人出てくる。

「お前、何で分ったんだよ。」
「微かに気配がしました。僕は、ほんの少しでも気配があれば気付くので。
ここに来る前に会った人達よりは、ましな強さですね。」

そう言った夜神は刀を抜いた。
原田は槍を構え、斉藤も刀を構える。

「姫様、下がっていてくださいね。」

姫の部屋の空気が張り詰めたものになり、敵が飛び掛ってきた。
すかさず、三人は自分の相手を片付けていく。
全員、戦闘に集中していたのか、姫の後ろにいた敵に気付かなかった。

「た、助けて!」
「姫様!?」

今の姫の状況は、危険だった。
ギリギリ敵の存在に気付けたものの、最初の一太刀をよけたときにこけてしまい、次の太刀はよけられない状況なのだ。
夜神は小さく舌打ちをすると、自分の持っていた刀を手放し、敵へと投げつけた。
それは見事に命中し、姫に斬りかかろうとしていた敵は倒せたが、今度は夜神が危険な状況へと陥る。

武器を失くした夜神は、敵の刀をよけていくが攻撃できず、体力だけを消耗していく。
その時、ついに体力の限界がきたのか、夜神の膝が折れ、夜神はその場に倒れこんでしまった。
敵はそれを見逃さず、すぐに夜神に斬りかかる。

「終わりだ!」
「・・・っ、まだ死ぬわけにはいきません。」

夜神は、体制が崩れたまま、無理矢理相手の手元を蹴りつけた。
体制が崩れたままなので、強くは蹴れなかったが、それでも起き上がる時間は稼ぐことができた。