夜、屯所の中は騒々しかった。
いや、屯所の中というよりは、新撰組の幹部達が騒々しいのだ。

「おい、見つかったか!」
「まだです。というより、屯所内にいるのかすら不明です。」
「まったく、何処に言ったんだあいつは。」

彼らが探しているのは一人の少女。
昼間、散歩に行くと土方に伝えたきり姿が見えないのだ。

「ほんと、嬢ちゃんは不思議な奴だな~。」
「嬢ちゃん・・・?」

原田の言葉を聞き返した土方。
それもそのはず、彼らが探している少女は、女というのがばれてはならない。
それにもかかわらず、『嬢ちゃん』と呼んでしまえば絶対にばれてしまう。
しかし、原田は何も気にせずこう言った。

「おう!
あいつ女だし、どっかのお嬢様みたいに気品があるからそう呼ぶことにしたんだ。」
「はあ。」

土方は、思わずため息をついてしまった。
原田は馬鹿だと、改めて思う今この頃である。

「まあ、今はそんなことを気にしてる暇はないな。
・・・・・・ったく、勝手に出歩かれると、怪しんでしまうだろうが。」

頭をかきむしり、土方は再び少女を探し始めた。