完全に私が斉藤さんに翻弄されている状況だ。
流れを変えないとまずい。
じゃないと、このままじゃ負ける。

「隙を見せたな。」

しまった。
どうやって状況を変えるかどうかで、警戒をおこたってしまった。

「痛っ!」

わき腹に感じた痛みに、思わず顔をしかめる。
ちょっと深く斬られてしまったかもしれない。
痛みは止むことを知らず、膝をついてしまいそうになる。
そんな私に追い討ちをかけるかのごとく、斉藤さんは斜め上から私に刀を振るってきた。


このままじゃ死ぬ。


そう感じてから、行動に移すのは早かったと思う。
その証拠に、もうすぐそこまであった斉藤さんの刀に自分の刀が交わっている。

「なぜ、間に合った。」

斉藤さんも、不思議に思ったようだ。
それもそのはず。普通ならもう間に合わず、死んでしまっているだろうから。

「自分でもわかりません。恐らく、反射的にだと思います。」
「反射的・・・・。」
「今度は、こちらの番ですよ。」

斉藤さんが驚いて動揺している間に決着をつけないと、負ける可能性がすごく高くなる。