土方の部屋には、再び幹部の人間と夜神が集まっていた。

「いやあ、本当に強かったです。でも、さすがにあれには驚きました。」
「あれ・・・?」

沖田の『あれ』という言葉に全員が反応した。

「夜神さんってば、急に言葉遣いとか態度が変わったんですよ。」
「ええ、それで隙が出来たのでそこを攻めたんです。」
「あれは作戦ですか。」
「いいえ。たまにあんな風になってしまうんです。驚かせてすみませんでした。」

とびっきりの笑顔で話す二人を、それまで静かに見ていた土方が口を開いた。

「それで、俺を襲った理由は教えてくれるのか?
後、お前の素性もな。」
「ええ、別にいいですよ。沖田さんと勝負する前に言ったように、もともと隠すつもりなどありませんでしたから。」

そして、夜神は一呼吸すると言った。

「私が土方さんを襲ったのは、剣が限界に来ていたからです。
これを見てください。」

夜神は自分の前に鞘から出した刀を置いた。

「所々刃こぼれしているのがわかりますよね。それで私は、次の戦いがこの剣の最後だと思ったんです。それなら、最後は強者との勝負で終わらせようと考え、土方さんを襲いました。」

淡々と話す夜神を皆、真剣な顔つきで聞いていた。