「ん、えっと・・・あれっ?」
俺は書きかけた図書カードに見付けた名前に、思わず鉛筆を動かす手を止めた。
『麻生由佳』
春休みも終わり、無事に進級した教室で、ついさっき聞いたばかりの名前。
長く伸ばした黒い髪に、透けるような白い肌。
簡潔に自己紹介する横顔は表情がとぼしくて、まるで人形のようだなとぼんやりと思った。
「・・・あの、すいません。
さっき返却した本、ちょっと見せてもらっても良いですか?」
返却本の整理をしていた図書委員の女子に声をかけて、春休み中に借りていた大量の本の背表紙を開く。
どこかで聞いた名前だと思ってたけど、図書カードで見かけていたのか・・・
ずらりと並べた貸出用の図書カード。
たくさんの名前が連なったものや、俺ともうひとり分の名前しか書き込まれていないもの。
けどそのどれにも、麻生由佳の名前は記されていた。
「由佳・・・か・・・
先輩、元気してんのかなぁ・・・」
俺は書きかけた図書カードに見付けた名前に、思わず鉛筆を動かす手を止めた。
『麻生由佳』
春休みも終わり、無事に進級した教室で、ついさっき聞いたばかりの名前。
長く伸ばした黒い髪に、透けるような白い肌。
簡潔に自己紹介する横顔は表情がとぼしくて、まるで人形のようだなとぼんやりと思った。
「・・・あの、すいません。
さっき返却した本、ちょっと見せてもらっても良いですか?」
返却本の整理をしていた図書委員の女子に声をかけて、春休み中に借りていた大量の本の背表紙を開く。
どこかで聞いた名前だと思ってたけど、図書カードで見かけていたのか・・・
ずらりと並べた貸出用の図書カード。
たくさんの名前が連なったものや、俺ともうひとり分の名前しか書き込まれていないもの。
けどそのどれにも、麻生由佳の名前は記されていた。
「由佳・・・か・・・
先輩、元気してんのかなぁ・・・」
