丹朱の橋、葉桜のころ

恋人もいないのだし、そんな役立たずな機関はいらないでしょう、もらってあげるわと、やんちゃな神様が微笑しながら取って行ってしまったのか。

それとも、どうせどうせといじけながら自ら消滅してしまったのか。

たしかに。

無用の機能であったことは、認めざるを得ない。
その天命をまっとうする予定など皆無であった。それならば、まあ。

まあ仕方がないか、という思いがボクの胸をかすめた。

じたばたしても始まらず、困るようなことも当面ない。

ボクはまるで涅槃に達したがごとく、潔い諦めの境地に踏み入って、朱色の座布団に座りなおした。


なにか、とても重大なことを忘れているような胸のうずきがあったが、正体はつかめなかった――。