「アタシってなんなの…?」

健にとってアタシってなに?
わからないよ。健が。

「もぉ…うっー…ひっく…うっうっ」

タンッタンッ

誰かの足音が近づいてきた。

健?もしかして健?

アタシは戻ってきてくれたの?と一瞬期待した。
けど、戻ってくるわけがない。
だけど、ほんの少し期待してしまうアタシがいる。

タンッタンッタンッタンッ

その足音はアタシの教室の前で止まった。

…えっ?
ちょっマジで健かもしれない。

アタシの期待はどんどん膨れ上がっている時にドアが開いた。

「松…井?」

その声でアタシの期待は崩れていった。

「松本くん?」

「あっうん」

アタシは頭を机から離してドアの所に立っている松本くんの方を向いた。

「あっ俺、居残りしてて…そしたら教室に忘れ物をして」

「…うん」

「うん。それだけ」

松本くんはササっと自分の席から忘れ物を取った。

「じゃっじゃあ松井。また明たぁ~?!ってえっ?!何?!どうした?俺、教室入っちゃヤバかった?」

「へっ?」

「…え?」

「いや、別に入ってもいいよ?」

「えっあっ…うん」

「うん」

松本くんがアタシの方をチラチラと見てきた。