初めこそ、面倒くさそうに声に出しながら読んでいたルキアだが、いつの間にか声を発することも忘れ、すっかり本の世界に魅了されてしまっていた。 本の中に広がっていたのは、産業の発展により産みだされた物――高層ビルや自動車のない、自然に囲まれた美しい世界。 人々は幸せそうに笑い、ルキアの住む世界には存在しない空想上の生き物たちが辺りを駆け回っている、そんな世界。