私は、ひどくがっかりしていたので、この場の異常な現象を気にも止めなかった。 絶対に、透だと思ったのだ。 根拠のない分、思い込みは激しくて、私は本当に久しぶりにがっかりした気分を味わっていた。 しばらくその場に立ち尽くし、そうして、どれほどの時間が過ぎたのか。 不意に顔を上げると、幽霊はまだそこに立っていた。 長身で黒ずくめの幽霊はひどくすまなそうな表情になったまま佇んで、私を見つめている。 そして、ぺこんと頭を下げた。 「――」 それが何だかおかしくて、私は笑ってしまった。