「……」
私は、同じように透の頬に手を伸ばした。
ほんの少し伸ばしただけで、私は透をつきぬけてしまう。
まるで夢を見ているようだった。
前に透と見た、映画のよう。
ストーリーは全然違うけれど、あの結末も、こんな風だった。
BGMはなく、まばゆい光もない、ひっそりとしたものだけれど、これは私達の別れのシーンなのだ。
言葉も、交わせない。
触れることすら、できない。それでも。
私達はただ、互いを見つめていた。
見つめることしか、許されなかった。
何か言えば泣いてしまうことが、私自身にもわかっていた。


