会いたい


「とおる……」

 透は、私の頬にその透ける手を伸ばした。
 何も感じない。
 当たり前のことなのに、なんて哀しい。
 こういうことなのだ、死は。

 もう二度と、触れることもない。
 もう二度と、声を聞かない。
 もう二度と、会えない。

 これはさよならなのだ。
 あの時、透が死んでしまった時、できなかったさよなら。
 そして私はまた、明日から独りで生きていかなければならない――たった独りで。