ヘタレ王子とヤンキー姫

何度かけても、恵美からのコールバックはなかった。

充電器を持ち歩く恵美に、充電切れはあり得ない。

颯太は樺音にかけることにした。

樺音はワンコールで、電話に出た。

「恵美たちがラチられた。俺のせいだ。」

「どこにいるんだ?」

「…なぁ今回は俺一人に…」

颯太は遮った。

「ダメだ。向こうは何仕掛けてるかわからねぇんだぞ?それに恵美や春樹だっている。もうお前だけの問題じゃない。」

樺音はなにも言わなかった。

「…ったく!わがままな女王だな!わかったよお前に任せる。その代わり危険だと判断したら俺もでる。だから場所を教えろ。」

「ありがとな。寂れたちぃせぇ公園だ。」

樺音はそれだけ言うと、電話を切った。

「母さん、出掛けてくる。」

颯太はそれだけ言うと、上着をとって駆け出した。

颯太の母は、凛々しくなった息子の背中を祈る思いで見つめていた。