ヘタレ王子とヤンキー姫

携帯がお決まりの音楽を流す。

恵美からだとすぐに気づいた。

「もしもし?」

電話の向こうからはなにも聞こえてこない。

よく耳をすませば、誰かのすすり泣きが聞こえてくる。

「春樹?おい何があった!」

「樺音…ホンとはかけたくなかったけど、このままじゃ春樹が持たない…」

そこから恵美の声は聞こえなくなった。

「おい!いまどこにいる。」

かすかにうめく声が聞こえる。

恵美が何かされたのだろう。

「恵美!なんとか言え!」

「よぉ。2年前のあの場所に一人でこい。」

それだけいって、電話は切れた。

樺音は走り出した。

春樹を一人で帰らせたことを後悔していた。

喧嘩に巻き込まれた友達を助けるために、春樹を一人で帰らせた。

すぐに終わらせて、あとを追うつもりだったが、春樹は電話に出ず、どこにもいなかった。