ヘタレ王子とヤンキー姫

said KAON

ここまでお人好しだとはな。

恵美はあの都市伝説を信じるのか?

俺は半信半疑だぜ。

もしかして、母親の方は成仏したんじゃないのか?

けど、そんな俺の考えは、すぐに跳ね返された。

「ありえない。自殺するってことは、この世に対して、深い恨みや憎しみがあるってことでしょ?怨念が留まれば、魂もそこから動けない。」

「そっか…。」

「ねぇ樺音…。」

「ん?」

こいつ…泣いてるのか?

「この海はどこまで続いてるんだろう?あの母親は、どこまで我が子を探しにいったんだろう…。生きていれば、借金なんかなければ、春樹や理名さんのように、なってたのかな。」

「どうだろうな。」

今俺は、この海の異様な空気を察していた。

霊感の強いやつと一緒にいたら、影響されるって話を昔、聞いたことがある。

恵美と一緒だから、俺はあいつの気配を感じられたのだろうか。


けど…感じるだけじゃなんの意味もない。

母親はともかくとして、あのガキは暴走してる。

何とかして止めないと…。

もう少し恵美の霊力の、影響を受けられたら…。

俺たちは、寄せては返す波を見つめながら、あの母子の事を考えていた。

考えていることは一緒なのに、混ざることはない。