ヘタレ王子とヤンキー姫

その幽霊は、俺の方へ寄ってきた。

姿は見えないが、気配を感じる。


「お姉ちゃん…僕が見えるの」

「いやっ、姿は見えねぇ。気配と声で、お前の存在を感じてるだけだ。」

「つまんないの…そういうやつが一番嫌いだ。」

ヤベッ、苦しい。

首に冷たい感触が巻き付く。

絞めてやがる。

くそ…

「やめなさい!!」

その声と同時に、霊の気配が消えた。

「すぐに起こしてくれたらよかったのに。」

「ゲホッ…ゲホッ。恵美か。」

「あの例はこの旅館の地縛霊ではないみたいね。」

「えっ?」

「春樹にしか見えなかったのは、樺音が私と共に行動してたからよ。あの子は私が霊能者だって見抜いてる。だから気配も姿も消した。」

霊能者?

「お前なに言って…。」

「私の家は神社なの。昔から霊感体質のあった私に、お父さんは、力を制御できるように、修行してくれた。」

修行って、虎の穴とかそういうのか?


「言っとくけど、虎の穴じゃないからね。」

…なんでわかった!?

「とにかく、このままじゃ春樹は危ない。すでに取りつかれてるから。」

俺たちは、朝になるのを待って地元の図書館へ行くことにした。