手をしっかり握り力を入れて立ち上がる。


右足、左足・・少しずつ慎重に。



「たっ!!立てた!!」


「ふざけんな!!あっぶね・・」


私は立てた喜びで悪魔の手を離してしまい横に地が無いことを
完全に忘れていた。



バランスを崩し、身体は横に傾いて行く。


いきなり死ぬなんて
―――いやあああ!!


ポフッ


あれ?柔らか・・い?


身体は落下せず柔らかいものに受け止められた。


「あああああっ悪魔さん!?」


受け止めたのは悪魔。

しかも空中の状態で。


「礼を言え。礼を。ったく世話の焼ける奴。」


「アリガトウゴザイマス・・・。」


抱き締められるのなんて初めてで私は滅茶苦茶動揺し。


お礼の言葉は、完全に棒読みになっていた。


私を最初に抱き締めた奴は

恋人でもなく

家族でもなく

友人でもなく


____悪魔だった。