小さい頃から足は遅かったが…… それは、16になった今も変わらない。

そんなとこも、まおらしい。


無事、駅のホームに到着し、まおとは別れる。

まおは、後部車両に瀬川 菜々(セガワ・ナナ)と一緒に乗り、通学している。


瀬川さんは――― まおと中学時代を過ごした同級生。

俺の知らないまおを知っている人―――。


「じゃあな。 瀬川さんに、迷惑をかけるなよ」


「かけないもん」


俺は二人の邪魔をしないように、先頭車両に向かい、電車に乗る。


俺とまおは…… “幼なじみ”と言っても、小学1年生の夏から、高校入学前までのまおを知らない。


俺ん家の家庭の事情で引っ越しをして、高校入学を機会にこっちに戻って来たからだ。


幼い頃は、長期休暇にはお互いの両親に連れられ遊んではいたものの…… 歳を重ねるに連れ、それは自然と無くなった。