「まさかあの時の光君にまた会ったなんて、すごいこともあるものね」


ダイニングテーブルに頬杖をつくお母さんは空を見ながら、懐かしむように遠い目をしている。


私が彼のことを話すと、お母さんは少しの間頭をひねりやっと思い出した。


確かにお母さんの言うようにすごい偶然ではある。


でも、彼との接点なんて、すごく小さなものなはずだ。


そんな記憶など、色が褪せるように極自然に薄れるものでしょ……。


すると、部屋にインターホンの音が鳴り響いて、私の肩はびくりと揺れる。


約束の時間の五分前、元気よく笑う彼はインターホンの画面の中にいた。