そうして、春休みの初日をむかえた。


自分の部屋のレースのカーテン越しに見えるのは、春らしいパステルブルーの高い空。


“明日行くね”


耳にこびり付いたそんな声が今にも聞こえそうだ。


昨夜、聞いたばかりの浮ついた彼の声。


そう、どうやら彼は本当に来るらしい――。


ベッドの脇に足を下ろして腰掛けたパジャマの私は、お母さんに服を着替えさせてもらっていた。


レギンスの上にはいたフレアスカートを整えて、淡いピンクのカーディガンに袖を通す。


私にとって洋服は、オシャレでもあるけれどその前に、胸を張って外に出るための道具でもあるんだ。