簡単に見えなくなる少し先の風景。


きっと私の未来は霧どころか闇に包まれてるんだろう。


私たち障害者の卒後は、なかなか厳しいものがある。


綺麗事なんかとても言えない現実がある。


だから、この学校生活はまだ幸せな時なんだろう。


なのに、高三の茜ちゃんの、学生生活最後の大イベントの日に、心配かけさせたくなかった。


あんなのいつものことで、もう私は何も思ってないから……。


その時階段を上がってくる大勢の不揃いな足音が聞こえて、私はあいている左手でビラを持ち直す。


早く気持ちを切り替えよう――。