なんとかお母さんに体を起こしてもらったから、テーブルに向かってみる。
テーブルには書きかけのノートが広げられ、点滴のない右手には鉛筆を握った。
でも、いつだって私の体はいうこときかないね……。
咳き込んで、止まらない。
痰が絡まり、どうしようもなく息苦しい。
筋力の弱い私は、痰一つ出すこともかなりの労力を使うし、容易なことじゃないのだ。
握っていた鉛筆は音をたててテーブルに転がり、私は咳がおさまるのを蹲るようにして待つ。
こんなんだから、自由なんてない。
小説なんてこれじゃあ書けないし、痰を出すことさえままならないんだから……。