何年ぶりかに手に取る、ピンクの小花柄のノート。


「先にリビング行ってるから後から来るのよ」


お母さんの言葉とともに、部屋に残された私とノート。


今、この手に昔の私がいる。


このまま捨てれば、忘れられるのかな……。


余計なもののない、私になれるかな……。


ノートを丸めようと手に力をこめてみるけど、指先が躊躇する。


すっかり力が抜けた意気地なしの自分に、ため息が漏れた。


そして、そっとノートの端に手を掛ける。


じゃあ、昔の私を笑ってから、捨ててやろう……。