目の前で茜ちゃんは困ったように笑う。


困らせたくなんかないけど、私の大好きな時間なの。


昼休みの廊下脇。


この庭園につながる通路は私たちの定位置だ。


ガラス戸からは優しい自然の光がさして、人目につかない。


ここで何度笑って、時には泣いて、何度悩みを相談しあったろう――。


ここは唯一この学校で、私が私でいられた場所。


それは間違いなく、茜ちゃんがいてくれたからだね……。


「もう、さゆりんは。辛気臭くなるじゃない!」


そう言う茜ちゃんは私を元気づけるようにくしゃりと笑うから、鼻の奥がつんとした。