ふわりと大好きな香りが漂う。 見なくたってわかる。 私の好きなアールグレイ、それもきっとミルクティ。 ちらりと前を見れば、右斜め前に自分の花柄のマグカップを置くお母さんがいた。 私と同じで元々光にあたると明るい茶色に見えるセミロングの髪が椅子に腰掛ける時ゆらりと動く。 いつもリビングで勉強する私に、お母さんはいつも私の好きな紅茶を淹れてくれるんだ。 「毎日やってるんだから休んだら?身体のことも考えて」 お母さんは私の顔を覗き込んで、穏やかな目元を険しそうにした。