廊下は、生徒の家族や近所のおじさんおばさんで賑わい、いつになく人や声に溢れかえっている。


全校の人数をあわせても普通の学校の一学年のような人数しかいないうちの学校では本当に珍しい光景なのだ。


「あら、お嬢ちゃん。頑張って、偉いわね」


ふと、声をかけてきたのはにこやかに笑う中高年のおばさん。


まるで私を幼い子供のように頭まで撫でて微笑むんだ。


……ほらまた心に黒いものが現れる。


だから私は作り物の笑顔を更に分厚く貼りつけて応えるのだ。


「ありがとうございます」


高校生になっても未だに幼い子供のように声をかけられる。


おばさんに悪気がないのはわかっていても、私はそれを差別と感じずにはいられない……。