――学校の玄関を前に、私は進むことを躊躇した。


どんな顔をしていいかわからず、指が震えている。


でも、彼が静かに頷いてくれて、私は思わず肩にかけられた学ランを握り締めた。


それだけで不思議と勇気がわいてくる。


そんな勇気を握り締め、彼と二人で私は待つ人のいる場所へ踏み出した。


中に入ってまず目に飛び込んできたのは、厳しく顔を歪ませるお母さん。


安堵したような声を数人いた先生はもらしたが、表情一つかえないお母さんに私は数メートルの距離をおく。


どうしてもそれ以上近付けなかった。


お母さんはこんなことをした私を許さないだろう。