雨も涙ももうわからないほどぐちゃぐちゃだけれど、どうしようもなく幸せだ。


そうして彼にそっと伸ばされた腕に包まれる。


互いに雨でびしょ濡れなのに、寄せた身体が嘘みたいにあたたかい。


彼の腕の中は、きっと私の一番の居場所。


優しさがつまった、私が私でいられる大切な場所だ。


すると、彼が穏やかに耳元で呟きだす。


「生まれた意味なんて俺もわからないけど、意味より素晴らしいものは知ってるんだよ」


そして、彼はこう続けた。


「さゆが生きてること。生まれてきてくれて、ありがとう――」


幸せで涙が溢れて、私は彼に想いをこめて腕を回す。


本当に本当に私は幸せだ――。