ナイフのように鋭くした声と刺々しい睨みで自分のまわりにバリアを張る。


光の消えた瞳で呆然と立ち尽くす彼はもう近付けるはずがない。


もう私は独りでいいのだから、誰も寄せ付けたくないのだ。


しかしその刹那、目の端に鏡のような水溜まりが映りこむ。


ついその水溜まりに目を凝らせば、そこには最も醜い人間が映っていた。


側湾で曲がった身体。


憎悪に捩れた表情。


そこに落ちた雨粒は、波紋を広げて更に醜く歪ませた。


見るに堪えないこの私の姿が、何よりも滑稽でならない。


歪んだその姿は、心まで的確に映し出しているのだろう。