――薄暗い廊下、窓には重くのしかかる灰色の空。


車椅子からの目線の私は、そんな空を高くいっぱいに窓から見渡せた。


厚い雲がいくつも犇めきあい、青いはずの空を埋め尽くしている。


青い空より私はこれのほうが好きかもしれない。


余計な輝きを見ずにすむのだから。


もう昼休みだが、今日は何もする気力がない。


進路の岸田先生の授業があったが、そんなものは聞く価値もない。


簿記の授業すら初めて無意味に思えた。


お母さんにあの夜言われてから、私が検定に注いできた時間と労力は馬鹿らしいものに変わったんだ。