内川先輩は、怒ってこんなことをしたのかな。


命がまだあるくせに、自ら命を捨てようとした最低な人間だから……。


痛いほどにカミソリを握り締めていた手から力が抜ける。


瞳からぽろりと涙が流れ落ちた瞬間、人差し指を撫でるように何かが滑っていった。


すると程なく焼けるような痛みが指先を支配する。


燃えるように熱い指を見れば、そこには真一文字の小さな傷。


そして、じわりと滲みだしす皮膚の下を流れている液体。


生気のない白い指先を、赤々としたそれに染め上げられるのが、どこか皮肉っぽく私は目を伏せた。