視界がたちまち滲む。
「内川先輩っ……」
今、先輩は私のことを空から見ていたの――?
ふわりと揺れるレースのカーテンの隙間から見える夕暮れの空に、優しげな丸顔で朗らかに笑う先輩が思い起こされる。
私は俯いて、次々と涙を落とした。
こんな私では、先輩に会わせる顔がない……。
私は先輩を尊敬してたんだ。
私もあんなふうに強くありたいと。
私は小学校に入ったとき、小四だった内川先輩に初めて会ったのだ。
内川先輩は大きな車椅子にのり、体格もしっかりしていたけれど、そんな見た目にはそぐわず、人一倍優しい人だった。

